メンテナンス

はじめに

登山靴をより長持ちさせるには定期的なケアが欠かせません。登山靴に使用されている素材に応じたメンテナンス剤で必要なケアを行ってください。また使用しない時の保管方法や定期的な点検によって登山靴の寿命を延ばすことにもつながります。
なお当ホームページで紹介するメンテナンス方法は弊社取扱いのCOLLONIL製品の特性をもとに、弊社で推奨する基本的なお手入れ方法となります。

購入時最初のお手入れ (布革コンビの登山靴)

靴紐を外します。
防水スプレーなどを塗布します。
ヌバック・スウェード革の風合いを変えたくない場合はヌバックスプレーレザージェルをご使用ください。
より防水効果を高めたい場合はワックスプルーフナノプロをご使用ください。
スプレーは靴から30cmほど離して噴霧してください。ベロや水よけ部分にもまんべんなくスプレーしてください。スプレーは換気の良い室外で行ってください。
スプレー後よく乾かしみがきブラシでブラッシングします。塗りこんだメンテナンス剤を全体に馴染ませると同時に、余分な成分を吸い取ります。

■ヌバックスプレーやレザージェルの使用後に最終のお手入れとしてナノプロをスプレーすると、より一層防水効果が高まります。また革部分はレザーワックスビーワックスローションを使用すると、より効果的です。
■革部分にワックス類を塗布する際はなるべく薄く塗り、多量に塗りこみ過ぎないように注意してください。

購入時最初のお手入れ (オールレザーの登山靴)

靴紐を外します。
ヌバックスプレーワックスプルーフを塗布します。
ヌバック・スウェード革の風合いを変えたくない場合はヌバックスプレーレザージェルをご使用ください。
スプレーは靴から30cmほど離して噴霧してください。ベロや水よけ部分にもまんべんなくスプレーしてください。スプレーは換気の良い室外で行ってください。
スプレー後よく乾かしみがきブラシでブラッシングします
塗りこんだメンテナンス剤を全体へなじませると同時に、余分な成分を吸い取ります。
より防水効果を高めたい場合は レザーワックスビーワックスローションナノクリームを塗ります。
ワックス類は少量を指にとり、指の腹で革になじませるように薄く伸ばしながら塗ってください。多量に塗りこみ過ぎないよう注意してください。
塗布後は一日ほど置いてしっかり乾かしてください。乾燥後はみがきブラシでブラッシングしてください。

■ヌバックスプレーや ワックスプルーフの使用後に最終のお手入れとして ナノプロをスプレーすると、より一層防水効果が高まります。
■ワックス類は薄く塗り、多量に塗りこみ過ぎないように注意してください。
■④の工程でナノクリームをご使用されている場合、 ナノプロを塗布すると、双方の成分が干渉し合い革の表面が汚れて見えることがありますので、両製品の併用はお薦めしません。

購入時最初のお手入れ (ワンポイント)

保革成分を含むメンテナンス剤の効果と風合いの変化
■レザーワックスやビーワックスローションを塗布すると防水効果は高まりますが、革の色の風合いは変化します。
効果や持続性、または風合いの変化の度合いは
スプレー<ローション<ワックス
となります。
■ナノクリームは使用後、革表面に光沢感が出ますが、色合いはほとんど変化しません。
■レザーワックスを塗布後、一日ほど置いて乾燥させてブラッシングした後にナノクリームを塗布すると、より防水効果が高まります。

使用後のお手入れ・保管方法

1. 山行後

①ソールや金具・靴紐に異常がないかを確認してください。
②インソール・靴紐を取り外してください。
③靴の中に入った土や砂利は取り除いてください。
ゴアテックス等の防水透湿素材を採用している場合、土や砂利が靴の中に入った状態で使用すると、摩擦などによりライニングを損傷し、防水性能を維持できなくなる可能性があります。
④雨などで靴の中がぬれた場合は新聞紙などを詰め、こまめに取り替えてください。
室内や直射日光の当たらない場所で行ってください。またストーブ等の熱源の近くに置いての乾燥は、靴を傷める可能性がありますので避けてください。

2.靴の汚れを落とす

①アッパーの汚れを取り除きます。柔らかめの布で拭くかブラシ類で取り除いてください
布革コンビの登山靴にはクリーンボックスコンビブラシを、ヌバック・スウェード革製の登山靴にはクレープブラシコンビブラシでのお手入れが効果的です。ベロや水よけ部分は見過ごしがちですが、細かい土や砂利・ホコリがたまりやすいので、汚れを取り除いてください。
②靴底の汚れをコンビブラシで取り除きます。
靴底に詰まった泥汚れはコンビブラシの真鍮ブラシを使用すると効果的です。
樹脂ブラシやノコギリ状のブラシはコバや細かな箇所の汚れをかき出すのに最適です。
③ライニングの汚れを落とします。
ライニングにアウトドアアクティブクリーナをスプレーした後、少し時間を置いて乾いた柔らかい布で均一に拭いてください。
ナノコンプリートの場合は噴霧後30分程度置くと汚れが分解されます。その後乾いた柔らかい布で拭いてください。
④汚れの程度などに応じて専用の洗剤を使用してメンテナンスを行ってください。
汚れの程度に応じてアウトドアアクティブクリーナナノコンプリートなどの専用の洗剤で汚れを落とします。

靴の汚れを落とす ワンポイント

専用の洗剤を使用してメンテナンスを行う場合
■ナノコンプリートは主に靴の内部に浸透した汗の汚れや雑菌類などをナノ分子レベルの成分によって浮かび上がらせ分解する効果があります。
まず靴全体にスプレーします。ナノコンプリートを塗布した柔らかい布やスポンジ等で泡を均一に伸ばします。30分程度置いて完全に乾いた後、みがきブラシでブラッシングすると、表面へ浮かび上がった汚れを取り除くことができます。
■アウトドアアクティブクリーナーは主に革製・布革コンビの 登山靴への使用が最適なクリーナーです。靴全体にスプレーし、噴霧後柔らかい布で均一に拭いてください。自然乾燥時に残った汚れが表面に浮かび上がってきます。完全に乾いてからみがきブラシでブラッシングしてください。
■アウトドアアクティブクリーナーやナノコンプリートでメンテナンスを行う際に大きな泥汚れなどがある場合は、事前に固く絞った雑巾等である程度汚れを落としてください。
■アウトドアアクティブクリーナーやナノコンプリートはゴアテックス等の防水透湿素材・カーフのライニングの両方に使用できます。素材の硬化を防ぎ、しなやかな状態を保つとともに雑菌等が原因となるニオイも防ぎます。

3.靴を乾かす

靴とインソールをそれぞれ風通しの良い場所で陰干ししてください。
直射日光下での乾燥は避けてください。
ストーブ等の熱源の近くに置いたり、ドライヤー等の使用、直射日光による乾燥は型崩れや損傷、またはソールの劣化を早める原因となります。

4.お手入れ

登山靴をより長持ちさせるには定期的なお手入れが欠かせません。登山靴の素材に応じたお手入れを行ってください。革の油分が不足し必要な場合は、保革のメンテナンスを行ってください。
■革の油分がなくなり革表面がカサつく症状が出ましたら、保革成分入りのメンテナンス剤(レザーワックスビーワックスローションビーワックス スプレー等)を使用し、革に栄養分を与えてください。
■ワックス類は少量を指に取り、指の腹で少しずつ革になじませるように、薄く伸ばしながら塗ってください。1~2日間置いて乾燥後ブラッシングすると、革表面に光沢が出てツルツルとした質感になります。
■ブラッシング後、革表面にベタつきがある場合は、ワックスを多く塗りすぎた状態です。塗りすぎたワックスは乾いた布等で拭き取ってください。

風合いを戻したい場合はヌバックローションを使用してメンテナンスを行ってください。
■長年の使用によって風合いが薄くなったり、紫外線などで日焼けしたヌバックやスウェード革は、ヌバックローションを使用すると風合いを元に近い状態へ復元します。風合いの戻り具合は革の種類によって異なります。
■使用後は乾かしてからみがきブラシでブラッシングしてください。成分を均一に伸ばして色ムラをなくす効果があります。

登山靴の保管方法

登山靴は保管状況により、その寿命が大きく変わります。基本的には風通しが良く直射日光の当たらない、人が快適に居られる環境が保管場所に適しています。
■高温多湿な場所での保管は適していません。靴のコンディションを損ねたり、ソールの経年劣化を早める原因となります。車のトランクなど高温での保管、ビニール袋や箱の中などに密閉しての保管は避けてください。
■長期間使用されない場合は、シューキーパーや新聞紙などを靴の中へ詰めて形を整え、軽く靴紐を締めた状態で保管してください。
また、陰干しをして湿気を取り除いたり、30分程度履いて使用することで、登山靴の寿命を縮める可能性が低くなります。

山行前の点検

山行前には、時間に余裕をもって登山靴の状態を点検しておいてください。
■山行のスケジュールが決まりましたら、余裕をもって登山靴に不具合がないかを点検してください。特に長期間使用されていない場合は必ず点検を行ってください。
■靴紐やフック、縫い目のホツレ、アウトソールの減り具合やソールの剥離の有無などを点検してください。
■アウトソールのブロックは、新品の状態から比べて溝の高さが1/2程度消耗しますと、グリップ力が低下し影響が出ます。その場合はソール張替修理や買い替えをご検討ください。
■登山靴に使用されているミッドソールの材質や接着剤は、時間の経過とともに劣化やゴムの硬化、接着剤の劣化によるソールの剥離や破損が起こり得ます。これらの症状が見られる場合、または見られなくとも長期間使用されていない場合、ご購入から長期間経つ場合はソールの張替修理(もしくは買い替え)をお薦め致します。

経年劣化について

登山靴に使用されている材質や接着剤は経年による劣化が起こります。
■登山靴のソールの剥離はそのほとんどがミッドソール(クッション部分)の経年劣化(加水分解による劣化)、もしくは接着剤の劣化によるものが原因となります。
■登山靴のミッドソールに使用されるポリウレタン素材は軽量で耐摩耗性に優れ、上質なクッション性(衝撃緩衝性)を持っており登山靴の性質に適するため、他メーカーの登山靴にも昨今幅広く採用されております。こうした履き心地の良さが非常に優れる反面で、使用頻度に関わらずに年数が経つと経年劣化し破損する場合があります。(加水分解は徐々に時間をかけてウレタン部分が劣化する現象です。)
■使用・保管状況によって前後しますが、ソールの寿命はおよそ3~5年程度となります。
■昨今の登山靴でポリウレタンと同様に使用されるEVA素材のミッドソールは、ポリウレタンと比較すると寿命の長い素材にはなりますが、こちらも経年による劣化は起こり得ます。またEVA素材自体の寿命は長くともミッドソールとアウトソールを接着する接着剤の経年劣化による剥離等の可能性は否めません。
■EVA製のミッドソールはポリウレタン製と比べクッション性は劣りますが、弊社取扱いの製品の中では、ライトアルパインブーツのような岩場での安定感が求められる登山靴に採用されています。
■ミッドソールの経年劣化については、先端が鋭利ではないスプーンの柄の部分や大きめのマイナスドライバー等をミッドソールに押し当ててみることで進行の目安を確認できます。初めは軽く、徐々にある程度負荷を掛けて押します。押した部分の凹みが戻らずに跡が残ると経年劣化が進行した状態となります。
アッパーがしっかりとお手入れされ、見た目からも一見何の問題もなく見える登山靴でも、経年劣化が進行しているとマイナスドライバー等でミッドソールを押すことで、凹みが戻らず跡がくっきり残ってしまいます。
顕著に跡が残る場合は経年劣化がかなり進行している状態ですが、これほど顕著でなくとも押した箇所が反発せずに跡が残る場合は経年劣化が進行している可能性が高いです。
上記方法はあくまでも目安として確認する方法となります。この方法にてミッドソールに跡が残らなくともご購入より長い年数ご使用されている登山靴、または長期間使用されずに保管されていた登山靴については経年劣化が進行している可能性はございます。なお、こちらの方法はあくまでも経年劣化を確認する一つの目安としてのご提案ですので、靴の管理は自己責任の下で行ってください。

ソール張替修理


アウトソールのブロックの消耗やミッドソールの経年劣化による兆候が現れる前に、ソール張替修理を行っていただくことをお薦めいたします。

トレッキングブーツ

サイドに巻かれているランドラバーおよびミッドソール・アウトソールのすべてを交換します。
※サイドにランドラバーが巻かれていないモデルは、ソール張替時の接着強度を保つためにランドラバーを巻いて張替修理をさせていただきます。
※靴の構造上、ランドラバーおよびミッドソールのみの交換はできません。

アルパインブーツ

※ワンタッチ・セミワンタッチアイゼン取り付けのコバがある靴です。
サイドに巻かれているランドラバーおよびミッドソール・アウトソールのすべてを交換します。
※サイドにランドラバーが巻かれていないモデルは、ソール張替時の接着強度を保つためにランドラバーを巻いて張替修理をさせていただきます。
※靴の構造上、ランドラバーおよびミッドソールのみの交換はできません。
■重登山靴の張替修理につきましては、アウトソールのみ張替修理を行っております。
経年劣化によるソールの剥がれ等の症状、または年数が経った張替修理不可能な製品は買い替えをお勧めしております。予めご了承ください。
■張替修理の金額や修理期間は、修理をご依頼いただく各小売店にてご確認ください。
トレッキングシューズは下記の画像のように張替が可能です。
張替.jpg

修理受付について

■修理のご依頼は、弊社お取引先を窓口として受付を行っております。該当する小売店へ修理品をお持ち寄りください。最寄りの小売店は取引先リストに掲載しておりますのでご確認ください。
■シーズン中の繁忙期は通常の修理期間より時間がかかる場合があります。なるべく時間に余裕を持って修理をご依頼ください。
■修理をご依頼いただく登山靴は、靴全体の汚れを落として、靴紐とインソールを外した状態でお持ち寄りください。靴の汚れが著しくひどい状態のものや靴の中がぬれた状態の登山靴は、受付をお断りさせていただく場合もございます。

修理方法について

■登山靴のソールの張替以外にもフック・Dカンの交換、糸切れの修理など可能な限りの修理対応を実施しています。
ただし以下に該当するものは修理対応が不可能となります。
・靴の形が著しく型崩れしていたり、損傷が激しい場合。
・アッパーの素材のコンディションが悪い場合のソール張替修理
・製品の部品保有年数が過ぎ、代替パーツでの修理対応が行えない場合
・その他弊社がサービスとして行っていない修理や修理対応が難しいと判断する場合。
■ソール張替修理以外のフック修理やDカンの交換、糸切れの修理等は修理箇所等によって金額が異なりますので、弊社へ修理のご依頼としてお送りいただいた後にお見積もりを差し上げることができます。
■商品の部品保有年数は、発売後5年を基準とし、修理可能期間はこれに準じ、その後は同等部品での対応となります。
■同じパーツの在庫が無い場合は、事前の予告なく一部同等級の代替パーツを使用する場合があります。
修理工程
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